「現場の賃金は上がってない」アンケートで明らかに
2016年度の公共工事設計労務単価は、全国平均で4・9%引き上げられました。この4年間で合計34・7%の引き上げとなりました。大工で23900円(12年18000円)、塗装で26300(12年19100円)になりました。こうした引き上げにもかかわらず、現場の賃金はあがっていません。
神建連組合員の賃金アンケート結果では、常用労働者の平均賃金は日額15232円(前年比▲270円)、平均年収405万円(前年比▲8万円)と減少。一人親方の平均賃金も日額18593円(前年比▲405円)、平均年収489万円(前年比+3万円)となりました。4度に渡って設計労務単価が大幅に引き上げられましたが、仲間の賃金引き上げにつながっていないことが鮮明になりました。
日建連(中央ゼネコン団体)は、20代で年収450万円、40代で600万円という年収目標値を設定し、賃金引き上げを会員企業に要請しています。仲間の賃金実態を行政や企業にうったえ、賃金・単価の大幅引き上げを実現する運動が極めて重要となっています。
神建連では毎年12月から1月にかけて、仲間の賃金実態や今後の運動のすすめ方について、組合・支部で討議をして、仲間の意見を集約し、企業や行政に対する「要求賃金」を決定しています。組合内での要求の討論が民主的な建設産業実現の第一歩となります。
法定福利費は当たり前に請求できる環境に
地場ゼネコンの1次業者として鉄筋業を営む建設横浜のAさんは、法定福利費を計上する見積書作成にあたって「どんな少額工事であっても、見積作成前に実行予算を作成しています」と工事代金を決める前に、施工にあたって、自社の損益分岐点を把握することに心がけています。
社保に加入したのは平成26年2月。その後、毎月の支払額が高額なため、組合の後押しもあり、取引先へ打診せず、見積書に「法定福利費」を本来の金額より若干値引きして計上。当初、法定福利費は取引先の契約担当者から削られる科目でした。今では、業界団体や組合などの訴えで、理解を示すゼネコンも増え、法定福利費は「あたり前に請求できる」環境になったといいます。
法定福利費は「請求しなければもらえない」。見積書提出時に損益分岐点を把握し、相手に請求根拠を示すことが重要です。