国の責任に決着、ただちに救済制度を
1月22日、大阪地裁は関西アスベスト大阪訴訟で国の規制権限不行使を認める判決を言い渡しました。建設アスベスト訴訟では、国の責任を認めた東京判決(2012年12月)、福岡判決(2014年11月)に次いで3度目となり、大阪判決は国の責任に決着をつけた判決となりました。
大阪判決は、防塵マスクの使用を義務付けなかった違法や、メーカーに警告表示を義務付けなかった違法などとともに、初めてアスベストの製造禁止が遅れた点に踏み込み、平成7年(1995年)時点で白石綿を含むすべてのアスベストの製造を禁止すべきだったと判断しました。平成7年以降も国は、多くのアスベスト建材の使用を認め続けてきましたが、これが断罪されたのです。
一方、労働者性が立証できなかった一人親方の救済は原則として認められず、メーカーの違法行為を前提にしながら、各原告の使用建材が「特定されていない」ことを理由に賠償責任について否定したことは、許されません。
国は、司法の3度にわたる断罪を真摯に受け止め、国が主導して補償基金制度創設に踏み出すべきです。
報告集会に200人、国会議員の力強いあいさつ
1月22日、衆議院議員会館で開かれた判決報告集会には、原告・弁護団、首都圏の各組合と支援する多数の団体・個人、約200人が参加し勝利判決を喜び合いました。
集会に駆けつけた自民党の佐田玄一郎議員(党建設技能者を支援する議員連盟会長)は「大阪の判決で国の責任が三たび、認められた。京都判決後に国が解決のテーブルに着くようにしたい。アスベスト問題の早期解決にむけて、全政党一致して取り組んでいきたい」と力強く表明。民主党の近藤昭一議員、共産党の穀田恵二議員からも解決にむけた決意と連帯のあいさつがありました。
200万請願署名を積み上げ、政治決着を迫ろう
全建総連は、建設アスベスト問題の早期解決と補償基金制度創設を求める200万請願署名を今通常国会に提出し採択を目指しています。1月27日には、院内集会を開催し、紹介議員となった137人に署名を提出しました。200万署名の取り組みを強め、政治決着を迫ります。
「企業責任を認めろ」神奈川原告団が記者会見
大阪判決をうけ、神奈川原告団は弁護団とともに記者会見を行ない、早期の解決を訴えました。
第2陣原告団団長 中川富衛さん
企業の責任が認められなかったことは納得がいかない。国の責任は認めたが、一人親方の救済と企業の責任については、高裁でしっかり判断してほしい。
第1陣遺族原告 菊地好子さん
国の責任については認める判決が出たことは良かった。企業に責任が無いなら、どこに怒りをぶつければいいのか。
第1陣遺族原告 吉田房子さん
亡くなった主人がどのような建材で仕事をしていたのかは、今となってはわかりません。はやく企業の責任を認めてほしい。