大手建設住宅企業交渉が10月16・17日を中心に実施されました。交渉はゼネコン、住宅企業、サブコンなど計41社と行いました。「第三次担い手3法」成立後の初めての交渉として、建設産業を未来に残していくために「オール建設」が団結するための最初の一歩と位置付けられました。
神奈川県連が交渉団長を務めた、竹中工務店と積水ハウスの交渉内容を紹介します。
【竹中】社員はしっかり週休2日 現場労働者と大きな差
竹中工務店(以下竹中)のホームページには、若手社員のインタビューが紹介されています。その一部の「休日の過ごし方」では、多くの社員が旅行に行き、趣味に励み、余暇を楽しむ様子が掲載されています。ここからは、休日をしっかりと取得でき、プライベートを充実させる時間があることが見て取れます。竹中は今回、社員の週休2日取得率が90%超であることを明らかにしました。
一方、竹中の現場における週2日閉所の平均年間達成率は、36%という低水準です。交渉団は、「現場の労働者も同じ人間。休みを取って余暇を楽しみたいという思いは同じ、休みなく働いても、仲間の平均年収は440万円程度(神奈川県連の調査)にとどまっており、組合が目標とする年収720万円には遠く及ばない」と切実に訴えました。
交渉団は、入職者が少ないのは、低賃金によるものだけでなく、休日が少ないことが大きな原因と指摘。竹中は、今年から「担い手確保タスクフォース」という組織を立ち上げ、取り組んでいるとしながら、「打つ手が見つかっていない」と漏らしました。この問題に組合と企業が一体となって取り組むためにも、まずは竹中の現場での年間閉所日の調査とその結果を、次回交渉で開示することを要望しました。
1次に対しての調査について竹中は「利益率や役員報酬といった踏み込んだ話まで調査・指導を行っている」と回答しました。
交渉は県連の荒井賃対部長を団長に、31人で行いました。
【積水】1次以降の契約には言及せず 賃金行き渡りに疑問符
「導入は難しい。予定はない」とCCUSの普及状況に回答する積水ハウス(以下、積水)、国交省から公表されたCCUSレベル別年収や担い手3法が成立した情勢、旭化成ホームズがCCUSを導入することを示し再度回答を求めました。「国から指導があればやらざるを得ない。今は検討するとしか答えられない」「業者からこの現場でやりたいと声があれば対応する」と軟化するものの後ろ向きな回答にとどまりました。
賃金調査については積水から若干上昇したことを示す回答書が配布され、「サンプル数を増やしたい、増えれば確かなものとなる」と協力的な姿勢も言及しました。上昇の要因は「現場作業の効率化が進んだ」と積水は分析、「現場従事者の収入を増やすことは担い手確保につながる、40代で年収720万を目標」と述べました。
組合参加者から「効率化だけでは年収720万円はできないのでは。賃金の上昇を求めている」と問うと「難しい」と述べ、住宅価格にも話が及び、「労務費の上昇につなげられるか年1回以上交渉する機会は設けている」など歯切れの悪い回答に終始しました。
賃金をどう現場へ行き渡らせるか、担い手3法に触れて組合から回答を求めると、「行政から指導があれば別だが信用問題」として1次以降の契約内容には言及しない立場を示しました。
交渉団は菅野団長(神奈川県連)を先頭に21人、積水からは12人が参加しました。