東京1陣訴訟、「和解勧告」へ
10月10日、建設アスベスト東京1陣訴訟の差戻審が結審しました。
原告・弁護団の最終弁論では、多くの仲間が亡くなる悲痛な被害を訴え、企業の責任を認める判決とともに、企業に対して補償制度に参加し訴訟とともに全面解決することを求めました。
結審にあたって、裁判長は 「本件の事案に鑑み、和解勧試します。和解の進め方は後日双方に連絡します」とし、判決日は「追って指定」となりました。和解協議は年明け以降に始まる見込みです。
裁判所が和解に言及するのは全国4度目で、企業は法的・社会的責任を真摯に受け止め、和解解決に応じるべきです。
東京高裁での和解協議は全国の訴訟解決の趨勢に大きな影響を与える可能性があります。全面的な解決を展望して、全国の原告・弁護団、組合が協力して、企業への要請、政治への働きかけを強めています。
東京1陣は2008年、全国で初めて提訴し300人を超える最大の原告団です。2021年最高裁判決で企業に逆転勝利し、東京高裁に差戻されて審理が続いていました。
建材メーカーの基金参加は不可欠
建設アスベスト訴訟全国連絡会は12月6日、建設アスベスト給付金法の改正を求めるシンポジウムを開催。建材メーカーに基金を拠出させ、すべての被害者の救済を実現する給付金法改正案を提案しました。
給付金法改正案は、①現行法では最高裁の示した屋内作業で、かつ国の責任期間内に限られている問題について、すべての建設アスベスト被害者に拡大すること、②建材メーカーの基金拠出を義務付け給付水準を2倍に引き上げることを柱としています。
シンポジストの立命館大学・吉村名誉教授は、建材メーカーが基金拠出する「立法事実」が存在していること、メーカーが被害発生の一方で相当の経済的利益を得ていることを指摘。被害に対する影響・寄与に応じた公平・公正な負担割合について提案し法改正の妥当性・必要性を示しました。
立教大学・関礼子教授は、「建設アスベスト給付金法の改正は、CSR(企業の社会的責任)を推進する企業を応援し、SDGsを達成するための技術イノベーションを、ソーシャル・イノベーションで支援する、未来志向の『投資』である」と言及。SDGsの9つの目標に合致すること、日本政府がSDGs推進本部をつくり取り組んでいることから、政府・与野党が給付金改正の実現のために取り組むことが求められることを示しました。