神奈川県建設労働組合連合会

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屋根へのブルーシート展張講習会「日頃の技術を安全第一で発揮しよう」

2023年12月4日

 台風や地震により、住宅が被害を受けたとき、出番となるのは私たち建設職人の技術・技能です。建設労連が構成団体となっている全木協神奈川県協会は11月7日、相模原市で「被災住宅のブルーシート展張研修会」を開催しました。

ブルーシートのはり方がモデルを使って具体的に伝えられた

 台風などで住宅の屋根が被害を受けた場合、雨風をしのぐために、ブルーシート掛などの応急処置が必要となります。しかし、ほとんどの場合、足場のない状況で対応しなければならないため、安全面での大きな懸念がありました。

 今回の講習は、そのような状況の中でも、より安全に作業を行うための知識・技術の向上を目指しました。

 講師には「NPO法人災害救援レスキューアシスト」の中島武志さんと川島浩義さんを招きました。お二人は多くの災害現場で屋根の応急処置に携わり、安全対策のノウハウを確立してきました。

 足場がない状況では、構造物や車などからメインロープ(親綱)を引き、できる限り安全に作業できる環境を整えます。転落のほかにも、道具などの落下、割れた瓦による裂傷などもよくある危険として伝えられました。

事故なく作業すること なによりも重要

 講義では、ブルーシートの張り方をはじめ、資材や道具のイロハも伝えられました。例えばブルーシートの番手は、標準寸法(3.6m×5.2m)での重さを表します(♯3000なら3キロ)。1000番台など、番手が小さいものは、すぐに劣化して破れてしまうため注意が必要です。

体重をあずけても安定するバディシステムを体験

 なかでも一番に強調されたのは事故なく安全第一で臨む事。「援助に行ったのにもしも屋根から落ちてしまったら、被災者にとって一生の傷になってしまう。なによりも安全が重要」。

 実技研修では、実際の木造2階建ての住宅の屋根に上り、どのように安全を確保しながら作業を行うか、実践を行いました。

 参加した仲間からは「建築とは違った普段触れない技術を学ぶことができた」「現場の講習は緊張感もあり大変良かった」「災害時に活かせる研修だった」「多くの失敗例・成功例などが聞けてとても良かった」

 私たちが日ごろ培った技術を、いざというときに事故なく発揮する。今後の災害に活かせる充実した講習となりました。

専門の技術に、参加者も興味津々

 親綱などが設置できない場合に、棟を挟んで2人がロープで支え合う「バディシステム」の実践を行いました。屋根上で作業する人を、もう一人が自分の体重を使って支えることに専念します。棟に過重が分散されるため、安定する仕組みです。

実際に屋根にのぼり実践的な訓練を実施

 安全確保と移動が両立する「プルージック」というロープの結び方も紹介されました。メインロープにこの結び方で命綱を結び付けます。落下などの引っぱりに対してはロックしますが、結び目を持つとスムーズに移動が行えます。

 熱中症対策では、作業の区切りではなく、時間を決めて休憩することの大切さが強調されました。

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