現場改善の要求突きつけ交渉
関東地協連絡会第77回大手建設・住宅企業交渉が、4月20・21日を中心に実施され、ゼネコン22社、住宅企業9社、サブコン3社の計34社との交渉が行われました。
今回の交渉は、コロナ禍での経済不安、ウクライナ危機、国際的物流の混乱などによる原燃料の高騰、急激な円安など、建設産業にはこれまでにない激動の1年をどう突破していくのかを追求する交渉となりました。
今年に入り日本全体に賃上げの風が吹き、設計労務単価11年連続の引き上げ、経団連は「賃上げは企業の責務」、日建連も「おおむね5%の賃金上昇」という方針を打ち出しています。政府は、担い手確保や生産性向上など資材高騰を踏まえ将来の建設業を持続可能なものとするための環境整備を目的とした「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」の検討会とりまとめが出されるなど新たな動きが出てくる中での企業交渉となりました。
今回の交渉に向けて、各県連・組合・支部での現場情報の聞き取り、従事者会議などの開催、現場訪問などで、現場の実態をより正確に把握したうえで、従来水準を超えて具体的な現場改善の要求を突き付ける交渉を行なうことができました。大成建設のハリーポッター現場での恫喝・パワハラ問題、清水建設の麻布台現場での単管投げ落とし事件など現場の声を交渉の場に持ち込み、謝罪させるなどいくつかの具体的成果をあげることに成功しました。
大成建設と交渉「賃上げで企業の本気問う」
大成建設との交渉は、神建連の荒井賃対部長が団長を務めました。
冒頭、前回求めた現場のコロナ対策が改善されたことに、組合側から感謝を述べました。
賃上げの議題については、一向に上昇しない賃金調査報告を受け、企業側の本気度を問う発言が相次ぎました。
企業側は、現在の見積要綱の書き方では十分に伝わらないという認識を示し、下請け業者に要綱の趣旨が徹底される方策を考えたいと説明。組合側は設計労務単価をベースとした具体的な金額を見積要綱に明示するよう求めました。新しい要綱は秋の交渉で情報提供される予定です。
CCUSカード不所持による現場排除については、企業側は行っていないとしましたが、実際には起こっていることを指摘。カード申請から発行まで1か月程のタイムラグがあることを強調し、カード不所持による入場禁止をしないことを両者で再確認しました。
報道のある施工不良による札幌のビル建て直しについては、下請けに未払い等のしわ寄せがないようにすることを確認。原因については社内のコンプライアンス委員会で追及しているとしました。
新たに、パワハラの事案が訴えられていることを伝え、企業側は実態の調査と個別の対応を約束しました。
川崎市の公契約現場で、依然として作業報酬下限額以下の従事者がいると指摘。企業側は前回交渉後、横浜支店の調査では問題が見受けられなかったと回答。再度確認を行うよう要請しました。