値上がり分負担は平均57万円に
外国産木材の供給不足と価格高騰は依然先が見えません。全建総連は全国の組合員に向け、「ウッドショックによる工務店への受注影響調査」を行いました(28都道県166社が回答)。
工事への影響について、契約済みの新築工事では半数以上が請負金額や工期などの契約変更が必要(すでに変更した)としています。しかし、(したくても)変更できないとする回答も多く、その理由として、「施主の合意が得られなかった」(47%)、「プレカットの見積もりが取れないので、変更を示せない」(17%)などが挙げられています。施主に請求ができず、自社で負担する費用は平均57万円にもなっています。
契約見込みの案件についても影響が大きく、「工期が確定できない」(49%)、「金額が確定できない」(49%)と深刻な状況です。
着工の遅延に対する資金繰りについて、「今すぐ融資が必要」は3%でしたが、「いずれ必要」「わからない」を合わせると39%と、先行きを不安視する様子がうかがえます。
仲間の実態で行政に対応求める
全建総連は6月11日、調査を踏まえ国交省と林野庁に対し、木材の安定供給と価格高騰の解消を要請しました。
国交省には中小工務店の倒産・廃業、技能者の離職への対策、住宅ローン減税等の期限延長を、林野庁には不当な買い占めや価格つり上げ、転売などへの厳しい指導、国産材の普及と需要拡大への施策等を求めました。
国交省、林野庁とも、早期に解決する有効な対策を示せませんでしたが、「住宅ローン減税の延長はしっかり検討したい。補助金の期限延長は今後の住宅市場の動向に注視して適切に対応したい」(国交省)、「横架材を含め住宅全体で国産材が使えるよう、安定供給できる環境を整えたい」「国産材の安定供給体制の構築に向けた協議会に全建総連も入っていただき、一緒に取り組ませてもらいたい」(林野庁)と中長期の展望については一定の回答を得ました。
行政には具体的な事例とともに対応を迫ることが必要です。引き続き組合への情報提供をお願いします。