神奈川県建設労働組合連合会

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建設アスベスト訴訟 最高裁判決 国と建材メーカーに勝利

2021年6月2日

国の補償制度創設の歴史的成果

 最高裁は5月17日、建設アスベスト訴訟で国と建材メーカーの責任を認める判決をだし、一部を高裁に差し戻しました。国は原告に謝罪し補償制度を柱にした解決で原告団と合意。全国の仲間の力で勝ち取った歴史的成果です。

 判決は、国が1975年から2004年までの間、防じんマスクの着用義務付け、建材等への警告表示の義務付けを怠ったことを違法と認定し、屋内現場で働く労働者・一人親方・事業主を救済。一人親方等を救済する司法判断は画期的です。一方で、屋外作業に対する国の責任を否定したことは被害実態を無視する極めて不当な判断です。

 また、建材メーカーが、概ね1975年以降、注意義務を怠った共同不法行為を認めました。市場シェアの高い企業等が共同して賠償することを命じました。

 最高裁前に約400人が集まったほか、インターネットの生中継で全国の仲間が歴史的判決を見届けました。

首相が原告に謝罪 国との基本合意が成立

 菅首相は5月18日、全国の原告代表と面会し、「責任を痛感し、真摯に反省して心よりおわび申し上げる」と謝罪し、給付金制度の創設にむけて取り組むと表明しました。

「国の補償制度創設の歴史的成果」

 さらに、原告団・弁護団・全国連絡会は田村厚労大臣との間で、①全国で係争中の訴訟の統一和解、②未提訴被害者への給付金制度の創設、③石綿被害の防止策や医療体制の確保策、補償のあり方などを継続的に協議する、とした「基本合意書」に調印しました。「給付金制度」は今国会中に超党派の議員立法により成立する見込みです。

原告・弁護団・組合「たたかいの成果」

 神奈川1陣訴訟は、2008年6月30日の提訴以来、幾多の困難を乗り越え、13年におよぶたたかいで、最高裁勝利判決を勝ち取りました。さらに国の謝罪、建設アスベスト被害者への国の補償制度創設という重要な成果を得ました。原告団・弁護団を先頭にした法廷闘争はもちろん、多くの組合員・家族、支援する会や全国の支援と運動が、この歴史的成果に結実しました。

 しかし、1陣原告は74人中61人がすでに亡くなり、争い続け解決を遅らせた国の責任は一層重大です。

建材メーカー含む補償基金の創設こそ

 最高裁判決で建材メーカーの責任は確定しましたが、建材メーカーは訴訟を続ける姿勢です。神建連、全国の原告団は、建材メーカーに対して訴訟の早期解決を求めるとともに、建材メーカーを含めた「基金制度」をつくり被害者への完全な補償の実現を求めてたたかっていきます。

最高裁判決のポイント

◎ 国は、1975年から2004年までの間、適切なアスベストばく露防止策を怠った。そのため、国は、屋内建設作業従事者(労働者、一人親方、中小事業主)に対して被害を補償する責任がある。

◎ すべての建材メーカーは、アスベストの危険性等を作業者に知らせる「警告義務」を怠った。そのため、建設アスベスト被害を補償する共同の責任がある。一定の市場シェアのあったメーカーは、被害への関与が相当程度認められるので、それらのメーカーは共同して、被害者に賠償しなければならない。

× 屋外作業での被害は予見できなかったため、国、建材メーカーに賠償責任はない。

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