左官工4人に謝罪と解決金
5月19日、首都圏建設アスベスト神奈川1陣訴訟において、被告企業ノザワと左官工4人の和解が成立しました。建設アスベスト訴訟で集団的な和解が成立したのは全国で初めてです。これまで解決に背を向け続けてきた建材メーカーらの1社が和解解決に舵を切ったことは、他のメーカーも含めた早期解決、全面解決に向けて足を踏み出す大きな転機となるものです。
提訴からまもなく15年。原告、弁護団、支援する仲間にとって大きな成果がもたらされました。
建設アスベスト神奈川1陣訴訟は、2021年の最高裁判決で、ニチアス、エーアンドエーマテリアル、MMK、ノザワ、大建工業、太平洋セメント、計6社との関係で原告22人(被害者単位)が東京高裁に差戻されました。
2022年2月から計4回の審理がすすめられ、11月22日に結審。裁判長は「和解による解決が望ましい」として被告企業に和解を勧告し、年明けから和解協議がおこなわれてきました。
和解の内容は、被告ノザワが、最高裁判決において、建材メーカーが一定の要件のもとで被害者に対して損害賠償義務を負うと判断されたことを厳粛に受け止め、同最高裁判決等を踏まえ、控訴人らに深くお詫びし、控訴人らに対し、解決金を支払うというものです。
ノザワ以外の被告企業5社は和解を拒否したため、5月31日11時、判決を迎えることになります。
秋には東京1陣訴訟が結審を迎えます。全面解決に向けて、他の建材メーカーにも解決を迫り、全国の訴訟の全面解決を決断させる運動を広げましょう。
提訴から15年 和解成立に大きな歓声
急きょ決まった和解期日にもかかわらず、裁判所前には、原告・弁護団のほか、支援の仲間50人ほどが集まりました。手続きを終えた原告・弁護団から裁判所前で和解成立の報告を受けると、大きな拍手と歓声に包まれました。
和解した神奈川1陣原告団長の平田岩男さんと同遺族原告の森松けい子さんは、喜びとともに、弁護団、組合、支援の仲間への感謝を述べ、あらためてすべての被害者の救済を訴えて「最後までよろしくお願いします」とあいさつしました。
神建連の仙田書記長は、「1陣提訴から15年。ついに全国初となる企業との和解を勝ち取った。5月31日の判決を機にいっそう運動を強め、神奈川1陣訴訟の解決と全国の全ての訴訟の全面解決をめざそう」と訴えました。
和解については、NHKの夕方のニュースで取り上げられ、各マスコミでも報じられました。全面解決に向け、運動によってさらなる世論の後押しを喚起していきましょう。
和解条項案(抜粋・要約)
- 被控訴人は、令和3年5月17日の建設アスベスト訴訟の最高裁判決において、建材メーカーが製造販売した石綿含有建材が個別の被災者に相当回数にわたり到達したと認められるなどの要件の下で、建材メーカーが石綿含有建材への警告表示義務の懈怠(※)につき民法719条1項後段の類推適用により損害賠償義務を負うと判断されたことを厳粛に受け止め、同最高裁判決及び本訴訟の経緯を踏まえ、本和解における被災者及びその遺族である控訴人らに対して、深くお詫びする。
- 被控訴人は、控訴人らに対し、解決金の支払義務のあることを認める。
※実施すべき行為を行わずに放置すること