公共工事から働くルールの確立を
公共工事は、税金によってまかなわれています。公共工事は、つくられる物の品質はもちろんのこと、地域経済への波及効果、産業の育成、住民の利益などと同時に、建設業法や労働基準法、労働安全衛生法などの法令が遵守され、そこに働く労働者の賃金・労働条件などの権利が守られるものでなければなりません。
社会的に公正な賃金・労働条件の確保が、入契法等により発注者にも要請されている公共工事現場から、率先して「賃金・労働条件の改善」「働くルールの確立」をめざしています。
そのために建設労連は現場訪問や県への要請とあわせて、『公契約条例(法)』制定の運動に取り組んでいます。『公契約条例(法)』とは、簡潔に言うと「公共事業の現場で働く全ての労働者に対して、(熟練労働者を基準とした)賃金の最低基準額を条例(法)により保証する」という考え方です。国際的にはILO(国際労働機関)により条例が採択されており当たり前の考え方だと言えますが、日本はこの条例を批准していません。これは先進国の中では異例なことであり、建設労連はこれを批准し国内法としての公契約法を制定することを長年にわたって各方面に求め続けています。
建退共制度(建設業退職金共済制度)の普及促進
建設業退職金共済制度は、非正規雇用の建設労働者に適用される唯一の公的制度で「第2の賃金」と言われています。
組合員も含め現場労働者の就労先が、施主からの直請や町場の工務店の仕事から、中小を含むゼネコンや住宅企業などの、建設資本の現場に大きく移行していいるもとで、建退共の普及を徹底し、公共工事のみならず民間工事での適用を大きく拡大していくことが、現場労働者の実質的な賃上げにつながっていきます。
公共工事現場では証紙貼付が義務付けられていますが、企業交渉では民間工事でも「貼付する」と回答した企業は22社あり、9社が組合の現場説明会の開催に同意しています。
しかし一方で、05年5月の現場訪問行動では、元請の証紙貼付についての努力不足、無関心さが明らかになっています。企業交渉での回答を現場で確実に実施するよう取り組みを進めています。
そのために、組合員が手帳を持つ運動を、建退共の普及強化月間と連動して取り組んでいます。また、現場で組合が手帳を発行する運動、下請業者から事務受託をして組合が元請に貼付を請求する取り組みについても検討をすすめています。
また、建退共の制度内容の検討が行われていますが、大きな問題として現場に証紙がなく、現場で働く期間が短いと証紙を請求する機会を失うなど、手続上の問題もあることから、貼付方法についての制度的改善要求も行っています。